
神仏への礼拝、お参りは、敬意を込めて心からの思いをお伝えすること。
真剣に手を合わせ、そして頭を深く垂れて心の中を打ち明けることこそが大切なのですね。形式にとらわれ過ぎると逆に大切なことがおろそかになってしまうかもしれません。
しかし最低限度の形式をしっかりと守ることもまた、敬意を表すという意味では必要なことです。古くからの「参拝の作法」または「しきたり」というものを踏襲することで神様仏様に一歩近づけるのではないでしょうか。
作法とは敬意を表すということの延長線上にあることです。教わらなくてもちゃんとできていることもありますが、おさらいしておきましょう。神社への参拝の作法をお伝えします。
鳥居
鳥居から向こう側は神様の領域です。神聖な場所となります。
明確に、「ペットは立ち入れません」、あるいは「下乗(車、馬、駕籠から降りなさい)」などと記されていることがありますから、従って下さい。
鳥居を潜るときは帽子をとり姿勢をただして一礼します。実は神社へお参り致しますことは、あなたの意志であると同時に、その神社の神様があなたを呼び招いたということでもあるのです。お招きいただいたことへの感謝の意を込めて一礼しましょう。
鳥居がいくつか続くことがありますが、合わせて三ヵ所であれば、本殿より遠い方から一の鳥居、二の鳥居、三の鳥居となります。
参道
鳥居から拝殿まで参道が続きます。このときは道の真ん中を通らないようにしましょう。
この道の中央は正中(せいちゅう)という神様が通る道ですから、真ん中を避けて通ることは敬意の表れとなります。
手水舎
参道の途中に手水舎(ちょうずしゃ、ちょうずや、てみずしゃ、てみずや)があります。
ここで手を洗い口をすすいで身を清めます。「手水をとる」といい、作法がありますが、簡単ですから覚えてしまいましょう。
①右手で柄杓を持ち水をすくって左手にかける
②柄杓を左手に持ちかえ水を右手にかける
③再び柄杓を右手に持ち、左の手の平に水をため、その水で口をすすぐ。水を飲んではいけません
④再度左手を水で清めて、柄杓を片手あるいは両手で縦にして残った水で柄を洗い流す
⑤柄杓をもとに戻す
水をすくうのはできるだけ最初の一度だけで済ませてください。そして柄杓から水を手にかけるときや口をすすぐときは、水は手水鉢(水のたたえられているところ)の外へ流します。
このときどなたかと一緒であれば、ハンカチを持っていてもらえますが、一人の場合は口にくわえたり、右手の指でつまんでいたりして、すぐ手を拭けるようにしておきましょう。
神の御前に立つための「禊」の儀式を簡略化したものですから必ず行ってください。禊を済ませていない人とは神様はお会いになりません。
拝礼
ご神前に拝礼いたします。二礼二拍手一礼ですね。
まず、賽銭箱にお賽銭をそっと入れます。鈴があれば鳴らしましょう。神様をお呼びするという意味があります。
正面を見て、そして深く二度お辞儀をします。腰を90度まで曲げるつもりでお願いします。このとき、女性の場合は、腕を体側にそろえていても構いませんし、前に回して手を合わせるのも美しく見えます。
直りましたら胸の前で音をたてて二度拍手をします。手を合わせたときに右手の平を少し下へずらし下げます。そして心からの祈りを捧げます。
最後に姿勢をただして一礼します。
おみくじ
拝礼が済みましたら、おみくじやお守り、お札などをいただいてください。おみくじは境内の所定の場所に結んでいっても、持ち帰っても構いません。日本には多くの神々、八百万の神、が存在していますから、いくつもの神社のお守りを持っていてもいいのです。
昨今は御朱印ガールという言葉もありますように、御朱印をいただくのも人気のあることですね。御朱印はかつてはありがたいお経、経典を写経し神社へ納めるという納教の証となるものでしたが、それが現在では参拝の証しにとってかわったのですね。
神社でなぜ仏教のお経を納めたのかという疑問がわきますが、神仏習合と呼ばれ、かつて日本では明治以前まで、神道と仏教は渾然一体としていたのです。神社の境内にお寺があったり、お寺の中に神社があったりということで、神社に納経ということも当然のことでした。
神社での参拝方法をまとめてみました。
記念写真を撮ることもあると思いますが、御神殿を近くで真正面から撮るというようなことは避けるべきです。遠景やなんとなくフレーム内に入っているといった程度にしておきましょう。
神社を後にするときも、鳥居のところで神殿に向かって一礼してください。正しい作法にのっとって参拝されたことを神様は必ず見てくれています。あなたの心にも満足感と安堵感が広がっていることでしょう。